私どもは、自身を含めまして、誰しもが持っているであろう、“マウンティング”があるのではないかと想像しています。これは、誰にでもあって、それでいて鼻持ちならない嫌味(いやみ)を醸(かも)す、皆から嫌われる言動です。人よりも偉い、人よりも金がある、人よりも高名だ、などは自助努力ではない部分もありますし、自己の努力で成し遂げた部分もあるには違いないでしょう。
しかし、これが、何だということかと言いますと、自分の内心の満足以外にはないのだという結論を導き出せない人にとっての不幸は、生涯分からないままになることでしょう。
そして、他人より偉いとか、他人より金持ちだなどとは、根拠が不明な言い分であって、地位が高いと良いのか、金があれば良いのかという素朴な疑問に立ち至ります。
何かにつけ、権門(けんもん)勢家(せいか)の言うような口幅(くちはば)ったい、面白みのない言動に対しては、近づきたくはなくなるような無様(ぶざま)な様子がうかがえます。
固有名詞でも良いのですが、自分の子が“名門の小学校に入った”とか、“名門の私立中学校に合格した”などの結果は、素晴らしいことかもしれませんが、ただそれだけの結果についての評価は、固有の人の一過性の結果であって、その後の生き様には反映されないでしょう。偉いんだ、優れているんだ、などという不遜な言動が己を貧しくすることであると理解してほしいものです。
